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認知症の予防、さらに健康寿命を延ばすためには、社会とのつながりを維持することが必須であり、孤独や孤立はシニアにとって大敵です。そのために重要になるのが、世代を超えた様々な人たちとのコミュニケーションとそのための会話。配偶者とすら会話がない状態では老化が進む一方です。とはいえ、話すことが苦手な人、また自身では話し好きだと思っていても、「話が長い」「要領を得ない」「同じ話を何度も繰り返す」「昔の自慢話がばかり」といった理由で知らずに周囲に煙たがられている人も多いことでしょう。

元テレビ朝日アナウンサーで、話し方のプロである著者が、老けないための話し方のコツを教えます。それらのコツを押さえて実践すれば、仲間も増えあなたの世界が広がるはず。そして、それは残りの人生を様々な病という災厄から遠ざけるだけではなく、感動や気づきのある充実した日々にするはずです。巻末にはベストセラー『80歳の壁』の著者、和田秀樹氏との対談を収録。会話と老化の深い関係について語り合っています。と案内にある。

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 大体のことが分かっているつもりでも、なかなか行動にうつせないことが多い内容だが、このようにきちんとまとめて書いてあると、再確認できて有益だった。

「夫と子供は褒めて育てよ」はその通り。「ありがとう、御蔭で、助かるわ」で平穏な夫婦関係になり、「えらい、すごい、ほかの子とちがうわ」で子供にはすごい効果がある。

「ネガティブ表現を別の言い方に」では、「歳だから」を「精一杯燃焼し尽くした人生だから」に、「頑固な人」を「ぶれない人」に変えるようにすればお互いに前向きになれる。

「歩けば舌も滑らかになる」では、考えごとは歩きながらするとアイディアが湧く!は本当だ。散歩の途中、良いアイディアや良い句のことばが見つかることが多い。

「読み・書き・話す」が一体化すれば、教養ある話し方になり、優れた話者となる。

「ほとばしるように語れ」では小泉元総理の強い思いをたぎらせて話す説得力を例に。

「人にかける言葉はあなたからの贈り物」というお見舞いの言葉で気をつけたいこと。

「見知らぬ土地や人との出会いが心を活性化してくれる」は、海外旅をして実感する。

「61歳からは2週目の人生。疎まれる老人と愛される老人の分かれ道」は心したい。

「脳の働きの良い時間帯は朝」なので、複雑な作業は朝集中的にこなす。

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スピーチテクニックの例。「寄席で面白いお話。小学生のお嬢さんにお父さんいる?って聞いたら、<いらない>、という。お父さんは間に合っていますということでしょうか」

「女房と喧嘩したら、このラフランス男!と言われ、オシャレな男と褒められたのかと思ったら、洋ナシ(用なし)男だったのですね。皆さんもお気を付けください。」

「前頭葉の衰えが頭の固い偏屈な老人を作る」では前例踏襲思考が前頭葉を老化させ、老人うつにもなるそうだ。いつもの同じ店にしか行かない、決まったブランドの服しか買わない、など現状維持バイアスが働きやすくなるそうだ。どうもそこに嵌っているように思う。

声を出して、疑ってかかり、前例踏襲型思考を捨てて、前頭葉トレーニングをすることが偏屈な老人から逃れられる一歩だそうだ。

我が身のことかと思わされることの多い本だった。

(写真は ひまわり畑と庭の花)