(続 モネの睡蓮の庭)
リンボウさんの「イギリス観察辞典」を読んで
イギリス人の生活を見ていると、退屈な時間を楽しそうに過ごす術を皆が有しているように見える。 旅行をしていてもプールそばで寝転がって本を読む。パブで一杯のビールを長い時間かけて飲みながら、ゆっくりと話している。決して忙しく買い物や観光に精出さない。家族や友人とスローライフをゆったりと過ごすのだ。
一方の日本人は、旅しても買い物だの史跡見物だの精力的に矢継ぎ早に歩いて回る。レストランでも大声で喚声をあげている。何をそんなに忙しく時間を過ごしているのだろうと、イギリス人には見えるそうだ。
日本の休日には、皆がそろってドライブにでかけるものだから大渋滞が起きる。行くところも同じだから目的地でも大混雑なのだ。
そういう時こそ、家の庭で寝そべってゆっくりと本でもよみながら日光浴を楽しめばいいのにと思うのだが、皆と同じ行動をとりがちな日本人の習性なのだろう
勤めていた時の充実感は分刻みのスケジュールに自己満足していたのだろうか。
「何時から来客です。その後会議室で打ち合わせです。」などと秘書の告げる予定が心地よかったのは7年前だ。
定年後の職場は余裕のあるポストでスケジュール表にも白いスペースが多くなった。
そして完全定年後、手帳にスケジュールを書き込まなければ不安な時期もあったが、やっとその時期をのり越えて、今や合唱練習の木曜日と英語クラスの金曜日以外は 定例の予定はなくとも、十分充実して楽しい。
定例以外は、時々入るゴルフの約束や飲み会の約束、妻との旅行や友人との旅行が加わるのがまた楽しい。満開の桜だけではなく、ライトアップや散り際の桜の微妙な変化や、新緑の木々の芽吹きの美しさや庭の花々の色合いの変化を味わう余裕がでてきた。
手帳にスペースが多くなるようになってから、日本人のせっかちな習性から脱却して、イギリス人の「退屈の過ごし方」を理解できる準備がようやく整ったようだ。まだまだ ぎこちないスローライフの会得はスローペースで・・・・・・。
(モネの家の庭のクロッカス)