ジュピターのブログ~令和徒然紀行~ 

旅(海外・国内)の写真と紀行文、日常のできごととエッセイと風景や花や自然の写真と書評

カテゴリ: 英・’08 湖水地方

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 NO 15  リバプールの ビートルズストーリーとキャバンパブ

 リバプールの「アルバートドック」は、今はレンガ造りの 土産物屋と倉庫で囲まれた長方形のドックで 港町の顔である。 しかし、過去には奴隷売買で栄えた港としての影の顔を持つ。

 まず、ビートルズストーリー館にはいる。 録音と写真、切り抜きを再生したビートルズゆかりの構成作品の陳列が多いものの、なんとなく物足りない。 これもビートルズファンではないからだろうか。

 マシューストリートもビートルズファンにはこたえられない観光スポットである。
 エレナリグビーの像はどこにあるのかというぐらい、わかりにくい場所にある。

 ジョンレノンの像は「キャバンパブ」の前にある。 
 ビートルズがデビューしたというキャバンパブは地下にある。 地下のパブともなると、少し気味が悪いので どういうところなのだろうかと 私が恐る恐る 階段を下に降りかかると、地下のパブからやや酩酊した風のおばさん二人がよろよろと出てきた。 これなら大丈夫かも と思い切って入っていく。

 大きな歌声が聞こえる。人々の頭越しに、やや高くなっているステージの上でギターを抱えた中年風のおじさんが、汗をかきながらビートルズナンバーを歌っている。我々も壁に寄りかかりながら聴衆に加わる。
 少し落ち着いて周りを見回すと、子供ずれ、夫婦、若者集団、など思い思いにテーブルで あるいは壁によりかかりながら、つまみなしのビール片手に楽しんでいる。

 後ろのビールカウンターに行き、
「ワン パイント オブ ビター  アンド ヘイパイント」と注文する。
 二人で、ビールを飲み干すまでテーブルにつき、ビートルズナンバーを堪能する。
 のどが渇いていたせいか、このビールはいける。

 果たして有名な歌手なのか、物好きな常連なのか、よくわからないが、 ビートルズも無名時代にはこのようにして、夜な夜な歌っていたらしい。才能が開くまでは、誰しも無名の時代をいかにしてのり越えるか、運とともに 忍耐と努力と実力が必要なのだ。
 それにしても、ここのビールは安くておいしかった。

 食べ物もでてテーブル席につくと 高いテーブルチャージでもとられるのかと 想像していたら、なんでもないイスや古い木のテーブルが並んでいる、気安く入れるパブであった。

 「I can't stop loving Beatles.」になってしまいそうだ。

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 NO 14  追憶のランカスターのパブ 「リングオブベル」

 今回の旅もなつかしいランカスターは避けて通れない。なにしろ20代の1年間、はじめての外国生活を過ごした原点なのだから。

 また、パブ「リングオブベル」のバーテンと元バーテンの奥さん(82歳)に会えるだろうかと、前回駐車時間超過で罰金をとられた駐車場を避けて、違う場所に駐車して、今回もウロウロと 探しながら懐かしの 赤いドアのパブを訪れた。

 11時過ぎ、期待して赤いドアを開ける。まだ開店時間ではないのか、若い女性が掃除をしている。
 「日本から来たのだが・・・ バーテンに前もって連絡のはがきを出しておいたのだが・・・・・」
 我々の声を聞きつけて、奥から男の声がした。

 「ああ、このはがきね」
 と、私が出したポストカードを左手にかざしながら、バーテンらしき男性が出てきた。

 「前のバーテンは昨年やめて、私が今はバーテンをやっているのだよ。 ミセス・ワイルダーはどこにいるのか、私はしらない。 かわりに、日本にいたという女性を今呼ぶからね」
 と、言うではないか。 柳の下にどじょうはいない。

 しばらく、コーヒーとティーを頼んで、裏庭を見たりして待っていると、若い女性がニコニコしながら入ってきた。
 彼女は、3年間 福岡の幼稚園で英語を教えていたという。 福岡のホームステイ先の家族の写真を見せてくれた。 結構上手に日本語をしゃべる。
 どういういきさつで日本に行ったのか聞くと、 
 なんとランカスター大学で英語教師の資格をとって日本へ行ったのだという。私と同窓生になるのだ。何かの運命的縁と親しみを感じて それから話が弾み 小一時間過ごしてしまった。

 今回は2年前の教訓を生かして、2時間分の駐車料金を払ってあるので たっぷりとパブで話し込んでも十分時間はある。 リングオブベルでの思いがけないランカスター大卒の同窓生に別れを告げ、しばらく追憶のランカスター市街を散策して駐車場に戻った。

 今回も意外な展開を見せてくれたランカスターのパブ「リングオブベル」ではあった。
 今回のベルの音は、年とったバーテンの奥さんとの再会や ドッキリ駐車時間超過の ベルの音ではなく、ランカスター大卒業生同士の 「一期一会」とも言うべき 思いがけない出会いと別れの ベルの音であった。

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 NO 13  アイアムソーリ 「ニアソーリ の ヒルトップ」

 ポターの家族が住んでいたニアソーリ村のヒルトップに行った。入場券売り場には10人から20人の列ができている。私たちも並んだ。ところが、どういう売り方をしているのだろう。いっこうにこの長い列が前に進まない。
 一組の入場者に対して長々と説明し、5分ぐらいかけている。小一時間待っただろうか。ようやく私たちの番になって その謎が解けた。

 「あなた方の入場時間は12時55分からです。 中に入る際には、保存のため かさは持ち込まないで下さい。 写真もだめです。 ポターの作品は何かご入り用ですか。 ここに陳列してありますから。必要なら内容を説明いたします。・・・・・」
 などと念に入り細にわたり説明が続く。

 10時30分頃から11時40分頃まで待って、そして 入場はその1時間後になる。 これでは切符を早く売ってもしようがないわけだ。 保存のためとはいえ、ナショナルトラストの管理は厳格だ。

 近くにある小さなホテルのティールームでのんびりと時間を費やすことにする。 アイスクリームとアールグレーがおいしかった。 庭も結構手入れしてあり、ヒルトップに入るらしい他のお客とのんびりと過ごす。 後でわかったことだが、これもナショナルトラストが譲り受けたホテルらしい。

 そろそろ並んで待とうかと ヒルトップに向かったところ、駐車場に長蛇の列が見える。どうも満杯になったようだ。 なにしろ、20台から30台程度しか駐車できないのだから無理もない。 我々は並ばず駐車できたのだからラッキーと言わねばならない。

 ヒルトップそのものは、2階建てでそれほど大きくはない。 保存よく、大事にしてある。 さほど大きなガーデンでもないし、手入れも特別丁寧というわけではなく、自然のまま保存している。 また 大きな家でもないが、ここでポターが育って、この庭や動物をモデルに絵本を作成したと思うと 貴重な記念館ではある。

 見終わって駐車場に戻ると、 長蛇の列の車は跡形もなく消え失せている。 どこかほかの駐車場に移動したのかしらと思っていたら、「入場券 Sold Out」 の看板がある。 売り切れになるほどの人気かしらと 不思議に思ったヒルトップではありました。

 入場できなかったお客には 「アイアムソーリ、‘ニアソーリ‘」でした。

 

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 NO 12  作家 林望さんご推奨の ウインダミア 「リンデスハウ」ホテル

 カーライルを出てペンリスに向かう。カンブリア地方をアルス湖経由で行くのだが、途中 峠越えの時、再びグレンコーのような険しい山々が立ちはだかる。 アルス湖畔には、美しいホテルを背景に ヨットハーバーの中に色とりどりの帆を上げたボートが停泊している。 山側には 小川に沿ったフットパスを少し歩くと、そこには思いがけない急流と滝が 我々を驚かす。 こういう突然現れる 予期しない景観が、フットパスを歩くハイカーを増やすのだろうか。

 アルス湖を過ぎるといよいよ2年ぶりの「ボーネス オン ウインダミア」だ。 今日から2泊する「リンデスハウ」ホテルは花と芝生に囲まれた、さすが作家 林望さんご推奨のホテルと言うだけある 美しいたたずまいだ。

 庭続きの小道を降りて湖畔に出る。 湖畔沿いの道をしばらく歩いて夕日に輝くウインダミア湖に出る。 2年ぶりの美しい、穏やかな金色に輝く湖の景色をしばらく堪能する。

 「今日はどこかこの近くで夕食をしよう」と、レストランを物色する。

 少し坂道を上がって、2年前に食べたレストランに入るのも芸がないと、今度は向いの 花で囲まれた「サザーランド レストラン」に入る。ローストビーフとチキンとワインがおいしい。味付けも日本人好みで、そのせいかやはり客も多い。味がわかるのだろう。おいしい夕食にありつけると得をした感じだ。

 ベアトリス・ポターが住んでいたという、このリンデスハウの朝食は、緑の芝生と花で一杯の庭を望む窓際のテーブル席をあてがわれ、小雨模様ながら豊かな気分でおいしく頂いた。
 このレストランには前室と後室があり、ひとつの部屋には ポターの直筆のサインと当時のリンデスハウの写真が飾られていて 歴史的遺産を保存する熱意を物語っている。

 2泊目の夕食はこのホテルのレストランに予約した。 前室でオードーブルが出され、 おもむろにディナー席に案内される。 ぜいたくな気分で楽しんでいるところに、 子供連れの賑やかな日本人ツアー家族に気分を害される。 こんなところにも日本人団体客の害が流されていた。気分よく楽しんでいるところに、大きな声でしゃべり うるさい音をたてるのだ。イギリス人家族の子供たちは厳しくしつけられていて、小さな声で 他の客を邪魔するようなことはしない。 文化度のちがいなのだろう。

 早々の体でうるさい部屋を後にして、後室に移り、コーヒーで気分を治す。 その部屋にポターの写真が飾られているのだ。 スタンドの明りが肌色で落ち着く。 ようやく 高級なホテルでくつろぐ贅沢を 静かな雰囲気の中で堪能することができた。

 

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 NO 11  ハドリアヌスの城壁

 37年前、ランカスター大学の友人ピーターのオンボロ車で ジムとともに、エジンバラへ向かう道すがら立ち寄って以来の 「ハドリアヌスの城壁」は、今回はじっくりと味わうことができた。

 37年前は「これがハドリアヌスだ」という地図と紹介文はその地域にはなかった。今回訪れた場所にはきちんとした説明文が立っていた。

 ハドリアヌスの長城は、中国の万里の長城に比ぶべくもないほどの規模だが、背の低い石組みの壁が延々と続き、羊や牛の放牧の境界ともなっている。

 そして、イギリスらしいのが、この壁に沿ってフットパスが続き、老若男女が犬も連れて、ハイキングや散策を楽しんでいるということだ。 我々が ハドリアヌスウオール の標識の前で、緑の牧草が広がる雄大なイングランド北部とスコットランド南部の境界を眺めている時、犬を連れた老夫婦が仲良くこのフットパスを歩いてきた。

 ローマ人の残したこの「ハドリアヌスの城壁」の長いつながりを見るにつけ、 思いだすのがやはりローマ人が残した 「ローマン フスウエー」 だ。
 これはいわゆる軍用道路で イギリスの田舎道を、これでもかという具合にまっすぐな道を作ったのである。
 このフスウエーを 左右に広がるカントリーサイドの のんびりとした風景を見ながら、ドライブするのは無上の幸せと言わねばならない。

 「ハドリアヌスの城壁」に沿った フットパス を のんびりとピクニック気分で歩くイギリス人の 自然を楽しむ時間の過ごし方も 理解できるような気がしてくるから 不思議だ。 

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