ジュピターのブログ~令和徒然紀行~ 

旅(海外・国内)の写真と紀行文、日常のできごととエッセイと風景や花や自然の写真と書評

2021年01月

本物のレンブラントには右下隅に〈RvR〉と署名があるんです――。ロンドン警視庁の新米捜査員ウィリアム・ウォーウィックは大学で学んだ美学を武器に、警察が押収した絵画を即座に贋物と見破り、捜査班のメンバーとなる。追うのは稀代の大物名画窃盗犯。二転三転の攻防の末、ついに決着は法廷にもつれこむ! 一筋縄では終わらない結末に、名ストーリーテラーの技が冴える美術ミステリー、と内容紹介にあった。

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主人公ウィリアム・ウォーウィックは、ロンドン大学キングズ・カレッジ卒の貴族の家系の捜査員で美術に造詣が深い、という設定は、私たちの見ている「刑事モース」がオックスフォード中退でクラシック好きという設定によく似ている。イギリスの刑事ものは高学歴で音楽美術など芸術に詳しい主人公が好きらしい。筋書きも音楽や美術がらみが多い。今回も名画窃盗がテーマだ。

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アップテンポで進んでいく物語の進行は読者を引き付けて離さない。特に佳境に入って、二つの物語進行は圧巻だった。

一つはっウィリアムの恋人ベスのお父さんを巻き込む殺人事件とその無実を晴らす再審を成功させる物語、もう一つはフィッツモリーン美術館の絵「アムステルダムの織物商組合の見本調査官たち」の盗難事件を解決するウイリアムの活躍、である。

この物語の中で交わされる高度の会話、美術にかかわる豊富な知識、弁護にかかわる法廷での弁舌さわやかなやり取りなど、脳の活性化には役立つ物語展開だ。

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クリフトン年代記を読み終えた私は、しばらくジェフリー・アーチャーの作品が読めないと、首を長くして待っていた作品である。いつものように満足させてくれた。訳者あとがきによれば、「ウオーウイック・シリーズ」の第二作が刊行されるそうで楽しみにしている。

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ところで、「10回クイズ」という面白い新聞記事を読んで楽しんだのでご披露したい。ご存じの方が多いとは思いますが・・。

「ピザという言葉を10回言って下さい。<ピザ、ピザ、・・>。 では体のこの部分は?とヒジ(肘)を指す」。相手は思わず、ヒザ(膝)と言ってしまう。最初に繰り返した言葉に刺激され脳がおかしな判断をするようだ。

次に、「シャンデリア、シャンデリア、・・」と10回言って下さい。それでは「毒リンゴを食べたのは?」答えは・・・。笑えませんか?

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(写真はオックスフォードのテムズ川、カレッジ、パブ、イングリッシュ・ブレックファスト、ベーカーストリートのシャーロック・ホームズ像、答えはシンデレラではなく白雪姫、いかがでしたか?思わず「シンデレラ」と言いたくなりませんか)

 メガトン級の「大失敗」列伝!誤って木から落ちた人類の祖先ルーシーから、国を滅ぼし、生物を弄び、環境を壊した、想像を絶するダメさ加減に「人類の本性」を見る、世界27ヶ国で訳されているベストセラー!人類はなぜヘマを繰り返してきたか、救いようのない人間のあんぽんたんぶりを思い知るためのあまりにユーモラスな本という紹介で読み進めた。

  初めから終わりまで読む者を飽きさせない、とあったが、これは本当の話なのかと事実とユーモアがごちゃ混ぜになっているような書き方に迷わされることも多い。いくつかの章に分かれているが、印象の強いエピソードを列挙してみる。

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 出だしからして、320万年前の人類の祖先ルーシーが木から落ちて骨折したという研究を最初の人類の失敗の始まりとしている。これが正しいかどうかはわからないが・・。

ネアンデルタール人が抵抗力をもっていなかった病気にかかってほとんど死滅した歴史と、その後のホモ・サピエンスの歴史は、コロナの感染の地域別死者数を見ると興味深い。

 20世紀前半アメリカの中央平原で起こったダストボール(砂ぼこりの黒い嵐)は、自然に反した開拓のせいで10年も続いたそうだ。環境をみだりにいじった災難の例である。

 ソ連の綿の需要を賄うための農場開発が、アラル海の縮小と干ばつをもたらしたことは有名である。砂漠が出現し、周辺住民の呼吸器を侵しているという。

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 オーストラリアにイングランドの野ウサギを持ち込んだため、1920年にウサギが大発生し、草木を食べ土壌が崩壊し浸食が起こったそうだ。退治するためにウサギ出血性疾患ウィルスを用いたという。ここでもウィルスがでてくる。

  中国では、1949年医療危機に見舞われた時、コレラ、ペスト、マラリアなど感染症撲滅のため,蚊やドブネズミ撲滅だけでなく、ハエのほか、穀物を食べるという理由でスズメまで撲滅されることになった。そうすると、スズメが食べていたイナゴが大発生したというのだ。2004年にはSARSウイルスの発生を受けて、ジャコウネコからアナグマまで哺乳類の大量駆除を命じたという。今回のコロナウィルス禍では、発生源とされる武漢のコウモリ大駆除となったのだろうか。

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 民主主義の危うさの問題として、リベラルな民主主義の下では妥当と思えていた政策が、権威主義政権に引き継がれると裏目に出ることを指摘している。

偉大な独裁者ヒトラーは議会で選ばれたが、民主主義的に選ばれたものが、突如として民主主義指導者でなくなり独裁化しドイツの支配権を完全に掌握し、12年間のドイツ統治で最大の混乱を引き起こした。今のトランプ大統領が民主主義の危うさを再び現実化している。

 人類は失敗を予測できないことをいくつかの例で示している。ノーベルはダイナマイトを発明して「おそらく私の工場は、世界各国の政府より早く戦争を終結させられる」と言った。とんでもない。次から次にと戦争はエスカレートしていった。

 イギリスの高名な科学者ケルヴィン卿は「ラジオに未来はない」「風船も飛行機も実際には成功しないだろう。大西洋横断の飛行は不可能」と言った。現実は反対のことが起こった。

 オッペンハイマーは「この原爆兵器をもってしても人類に戦争終結の必要性をわからせることができないなら、実験室から得られるものはない」今でもこれは疑問。

 2016年8月、シベリアの永久凍土が夏の熱波で融け、1941年に発生した炭そ菌で死んだトナカイの凍った死体から炭そ菌が発生し、遊牧民が手当てを受けた。気候変動がさらに悪化した時、長い間存在しなかった病気が将来的に世界に戻ってくるかもしれない。

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  どのエピソードも、さまざまな時代や地域から、さまざまな失敗が深刻な現代の問題につながってきているような気がした。人間は歴史から何も学ばないということもよくわかる。しばらくは覚えていても忘れてしまうのだろうか。先を見通すことのできない人類が愚行を繰り返すという、示唆の多い教えられる本であった。

(写真は エジプトの砂漠)

「平成の名水百選」にも選ばれたという千葉県・久留里は名水の町として有名だと、新聞記事で知った。実は、ご近所の方が毎週のように千葉へドライブして、おみやげに重いペットボトルの水を何本か届けて下さる。「コーヒーやお茶、それとお米を炊くのに美味しいよ」と言って下さる。それがこの「久留里の名水」だったことを今知った。

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また、道が混む土日にドライブに行くので、先日「平日の方がすいているのでは?」、と聞いたら、犬の世話を息子に休みの日にやってもらうためだということだった。犬の散歩にも気を使ってのことだったようだ。ペットも、飼うには相当の覚悟がいりそうだ。

名水のほかに、千葉の野菜や卵も届く。本当にありがたいご親切なご近所である。

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記事によると、久留里は、新井白石の父が藩主に仕えていたこともあるそうで資料館がある。16世紀後半に山城として築城された「久留里城」も別名「雨城」として鉄筋の模擬天守があるそうだ。1時間半のドライブらしいが一度訪ねてみたいものだ。

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ネット記事で見つけたのは、LEDの「日亜化学」(徳島県)がコロナウィルスを死滅させる高出力LEDを開発した、というもの。空気清浄機に応用する新製品開発が待たれる。コツコツ研究する化学者が徳島県にはいるようだ。頼もしい限りだ。

また、今日123日は「ワン・ツー・スリーの日」だそうだ。人生に対してジャンプする気持ちを持とうとする日にしたいものだ。

高齢者への生活習慣病予防としては、「一無、二少、三多の日」でもあるらしい。無煙・禁煙の勧め、少食・少酒の勧め、三勤・三休・三接」ともあった。コロナ禍では三接はしたくてもできないが・・・。

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(写真は 過去に訪れた倉敷美観地区・姫路城、時期をずらした今年の初詣・新原宿駅
                  残念ながら久留里城の写真は手持ちにありません。)

 莫大な報酬と引き換えに、当選率99パーセントを約束する敏腕選挙コンサルタント、聖達磨がこのたび引き受けたのは、最近、大災害時に備えた首都機能補完都市に指定された政令指定都市・高天(たかあま)市長選挙で、現職市長を打倒するというミッション。金、権力、検察、洗脳、服従、プロパガンダ、あらゆる手段を講じてのし上がり、今の地位を築いた現職の鏑木次郎の三選阻止のため、聖は、意外な人物を候補に擁立し、鉄板の市長の牙城に挑むが。圧倒的な現職有利の中、身内をも分断し、裏切りに裏切りを重ねて壮絶化する高天市市長選挙。果たして次期市長に選ばれるのは?そして日本の民主主義の未来はと紹介文

 テレビドラマでも香川照之が「当確師」として主演、半沢ドラマと同じような味を出していた。 サクッと読めるエンタテインメント小説、夫を裏切る妻の筋書きや聴力を失なった美人が現職市長に打ち勝つという設定には、少し飛躍すぎるところもあるが、選挙が始まる前にはすでに票読みで結果が予測できるということには、改めてなるほどという感じがする。

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 解説で池上彰さんが、以前取材した経験話を書いているが、「当確師」に近い役割を果たすベテラン運動員は存在するそうだ。メディアによる世論調査のデータを入手しテコ入れに走る、あるいは選挙区情勢記事で「接戦」「苦戦」「有力」と、どう表現してもらえるかで、かなりそれからの選挙作戦が異なってくるし、結果も左右されるそうだ。

 それを「アナウンス効果」とか「「バンドワゴン効果」というそうだ。特に「バンドワゴン効果」は聞きなれないのだが、池上さんの説明では、バンドワゴンとは行列の先頭を行く音楽隊で、派手で目立つ行動についていくという意味。小選挙区では「苦戦」と書かれるとこの候補に入れても自分の票が無駄になるから「有力」と書かれた候補に投票するということだそうだ。一方、逆に中選挙区では、「有力」と書かれたら「自分が入れなくても当選するだろうから別の候補に入れよう」という行動に出る。これを「アナウンス効果」というそうだ。「接戦」と書かれる方が戦い方の工夫ができて、選挙参謀には好ましいそうだ。

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 真山仁は「社会に警鐘を鳴らすために、ない知恵を絞って小説を書いてきた。しかし、すべての継承は無視された」と言っているという。

 真の民主主義を実現するためには、一人一人の頭で考えた投票が求められるのだが、良くても60%前後しか投票率がないという現状は嘆かわしい。それに、最近の若い人々が「経済さえよければ今のままでいいのでは」という、無気力で理想を求めない姿には落胆せざるを得ない。それが今のコロナ対策の遅れ、国会無視の権力者、モリカケ問題・桜の会問題への中途半端さ、多数党のやり放題、そして心の通わない首相のスピーチ、などの結果をもたらしている。すべての政治の現状が、選挙に自分たちの思いをかけていない民衆の自業自得というのが、民主主義の今の現実であろう。早く夢から覚めねば!いつまでも烏合の衆であり続けると、民主主義は権力者の餌食となる。良識ある決断を下す有権者がいてこそ、民主主義は機能する。
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(写真は 梅一輪、蝋梅、フラワーランドの葉が散った木・今度アプリで名前調べます)

朝6時台のラジオ「サンデーエッセイ」で養老先生が、散歩の時わからない花や木の名前を「植物判定アプリ」で調べる、ということを聞いて、早速スマホのアプリを試してみた。

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今までは、この花は何だろうと思って図鑑で調べてもなかなか、お目当ての花や木がみつからない。それに似た花を見つけてもどっちかなと思うことがしばしばだった。今後はこのアプリである程度正確な花の名前がわかるはずだ。便利になったものだ。しかも無料で!

「花の名の わからぬものは 妻に聞く」から

「花の名の わからぬものは アプリ見る」になった。

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時々不思議に思うことがある。ラインにしろ、スカイプにしろ、ズームにしろ、便利に使っているのだが、これがなぜ無料で使えるのかということだ。どこかでそれを開発した企業には利益を回収できるメリットがあるはずだ。有料の顧客を持っている、コマーシャル代で賄える、そして推測だが利用客の情報補足があるのかもしれない。というのも、旅する時、B&Bをホテル・ドット・コムで予約すると次から次にとホテル情報がコマーシャルで画面に現れる。アマゾンで購入するためカメラの情報を見た途端、カメラのコマーシャルがどんどん画面に現れる、というのが推測の証拠だ。つまり、私が何に興味を持つかということがすぐさま補足され、データバンクにはいってしまうのだ。中国などでは、すでに個人情報はすべて国が握っているともいわれている。「クワバラクワバラ!」

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ところで、この「クワバラクワバラ」という言葉の語源がおもしろい。

「左遷された太宰府でこの世を去った菅原道真公。その悲しさと虚しさとうらみは、都に異変を起こす。都では落雷などにより、亡くなる貴族もでてきた。都では菅原道真公の祟(たた)りだと恐れたが、道真公の所領であった「桑原」には落雷がなかったという。この「桑原」には落雷がなかったことから、落雷を防ぐ、そして、災難から逃れる言葉として「くわばらくわばら」というようになったということです。」と書いてあった。

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(写真は 水仙、蝋梅、チェリーセージ)

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