本物のレンブラントには右下隅に〈RvR〉と署名があるんです――。ロンドン警視庁の新米捜査員ウィリアム・ウォーウィックは大学で学んだ美学を武器に、警察が押収した絵画を即座に贋物と見破り、捜査班のメンバーとなる。追うのは稀代の大物名画窃盗犯。二転三転の攻防の末、ついに決着は法廷にもつれこむ! 一筋縄では終わらない結末に、名ストーリーテラーの技が冴える美術ミステリー、と内容紹介にあった。
主人公ウィリアム・ウォーウィックは、ロンドン大学キングズ・カレッジ卒の貴族の家系の捜査員で美術に造詣が深い、という設定は、私たちの見ている「刑事モース」がオックスフォード中退でクラシック好きという設定によく似ている。イギリスの刑事ものは高学歴で音楽美術など芸術に詳しい主人公が好きらしい。筋書きも音楽や美術がらみが多い。今回も名画窃盗がテーマだ。
アップテンポで進んでいく物語の進行は読者を引き付けて離さない。特に佳境に入って、二つの物語進行は圧巻だった。
一つはっウィリアムの恋人ベスのお父さんを巻き込む殺人事件とその無実を晴らす再審を成功させる物語、もう一つはフィッツモリーン美術館の絵「アムステルダムの織物商組合の見本調査官たち」の盗難事件を解決するウイリアムの活躍、である。
この物語の中で交わされる高度の会話、美術にかかわる豊富な知識、弁護にかかわる法廷での弁舌さわやかなやり取りなど、脳の活性化には役立つ物語展開だ。
クリフトン年代記を読み終えた私は、しばらくジェフリー・アーチャーの作品が読めないと、首を長くして待っていた作品である。いつものように満足させてくれた。訳者あとがきによれば、「ウオーウイック・シリーズ」の第二作が刊行されるそうで楽しみにしている。
ところで、「10回クイズ」という面白い新聞記事を読んで楽しんだのでご披露したい。ご存じの方が多いとは思いますが・・。
「ピザという言葉を10回言って下さい。<ピザ、ピザ、・・>。 では体のこの部分は?とヒジ(肘)を指す」。相手は思わず、ヒザ(膝)と言ってしまう。最初に繰り返した言葉に刺激され脳がおかしな判断をするようだ。
次に、「シャンデリア、シャンデリア、・・」と10回言って下さい。それでは「毒リンゴを食べたのは?」答えは・・・。笑えませんか?
(写真はオックスフォードのテムズ川、カレッジ、パブ、イングリッシュ・ブレックファスト、ベーカーストリートのシャーロック・ホームズ像、答えはシンデレラではなく白雪姫、いかがでしたか?思わず「シンデレラ」と言いたくなりませんか)