ジュピターのブログ~令和徒然紀行~ 

旅(海外・国内)の写真と紀行文、日常のできごととエッセイと風景や花や自然の写真と書評

海外・国内旅行の写真と紀行文(10年以上のリスト)
エッセイと自然・花の写真
感動した本の紹介や日常の出来事の徒然紀行文

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チューリッヒを出発した汽車は牧草地をぬけるとアルプスの山塊を登っていく。いきなり車窓に飛びこんできた巨大な岩壁のアイガー、朝日に全容を示した坐せる孤峰のマッターホルンをはじめ、人なつこい宿の主人シュトイリ氏、チナールの谷で逢った愛らしいベルギーの少女たちなど、憧れの土地で接した自然の風物と人情の機微を清々しい筆で捉えた紀行文。佐貫亦男氏の写真多数収録。とあった。

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 新田次郎の紀行文には、さすが作家らしく、旅した山やホテルや人の記述が文学的であった。私たちも定年後、スイスの旅は何度か経験したので、その感動を新田の文章で再確認できた。

「白銀の峰々」では「アイガーの岸壁を車窓から見上げた時は、おっかないような気がした。美しさというものはなく、威圧感だけであった」と記していた。私たちも、目の前にアイガー北壁が聳える「ホテルSpine」に泊まったので、その威圧感を十分に味わった。

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「ユングフラウヨッホに立つ」では、「クライネシャイデック駅。乗り換えである。そこはちょっとした広場になっていて、駅と大きなホテルがあった。ここが植物の限界点であった。ここから上は岩と氷以外に生物はないのだ。何かが動いている。牛だ。この辺は牧場の最高限界らしい。」とあった。私たちも牛のカウベルを聞き、乗り継いでウエンゲンに向かった。牛がのんびりと草を食む牧歌的な風景は、紀行文で描かれているように、ここが最高限界らしく、その限界風景を楽しむことができた。

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「ユングフラウヨッホ。そこは雪で覆われた山のいただきだった。周囲を見渡すと一面雪である。雪の道はあまり気持ちのよくない傾斜角度を持っていた。私は不思議な感じがした。頂上には柵がない。皆さんの生命は皆さん自身でお守りください。それがヨーロッパ人の考え方なのだ」という新田の感じ方については、私もそう思った。「危険!注意!」の旗はない。柵もない。それが美観を保っているように感じた。日本では、やたらと派手な幟や「危険」などの注意書きの看板が多く、景観を損なっている。(続く)
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99%が真実」という噂で書店から本が蒸発した! あまりに詳しすぎる内部情報、関係者しか知らないはずのエピソードなど、小説を偽装したノンフィクションではないかと噂され、発売と同時に一気にベストセラーとなった超問題小説「トヨトミの野望」の第二弾! EV、自動運転、ライドシェア、さらにカーボンニュートラル、地球温暖化。激震する自動車業界の巨大企業に、さらに世界的IT企業が襲いかかる。持ち株比率たった2%の創業家社長は、この難関を乗り切れるのか。経済記者が覆面作家となって挑む「この国の危機」の真実。新聞が書けない極秘情報満載のビジネス小説と、内容紹介にある。

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 前作のラストは、トヨトミ自動車の豊臣統一社長が「2030年までにガソリンエンジンのクルマをゼロにする。すべて水素カーに替える」とぶち上げる場面で終わった。その後いったいどうなったのか?」ハイブリッド車プリウスの成功により、大きく利益を伸ばしたトヨタ自動車だが、自動運転への対応、さらなるエコカーの開発などが課題となっている。

第二作の冒頭は、名古屋市郊外の高級住宅地にある豊臣統一社長宅への経済記者の「朝回り」から始まる。創業家の長男で生まれながらのお坊ちゃまの「統一」は、気に入らないことがあれば切れやすく呆れてしまうような人物。記者たちも忖度、追従する者たちが多く、記者同士が牽制しあう。「モデルとなった自動車企業のマスメディアへのグリップは強く、日本のメディアへの広告出稿費は巨大で、そのため忖度が生まれ、真実がきっちり伝えられない」と、筆者は語っているそうだ。

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 作家の江上剛のあとがき解説では、人々は今、世界的企業の伏魔殿の扉を開けたいと願っているのでは? そんな私たちの前に、トヨタをモデルとしたとしか思えないのが本書「逆襲」とその前作「野望」である。前作「野望」は「サラリーマン時代劇」のようなもので、リアリティがあり、踏み込んで書いている。第二作「逆襲」もまた、経済小説の魅力にあふれている一方、「今、そこにある危機」に対処するために日本の未来を憂える人すべてが読まねばならない内容をも含んでいる、と結んでいる。

この第二作「逆襲」もモデル企業が想像できリアリティを感じ、「野望」とともに大いに楽しめた。

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第三作「トヨトミの世襲」は、「完結作」。世界中を襲った未曾有のパンデミックの中、巨大自動車会社トヨトミも待ったなしのEV(電気自動車)シフト転換を迫られていた。しかし、販売ディーラーの相次ぐ「不正事件」や持ち株比率たった2%の創業家の「世襲問題」など暗雲が垂れ込める。カギを握るのはトヨトミの母と呼ばれる元女優の謎の老女。彼女がひた隠す「豊臣家の秘密」。

「十年後にクルマの値段はいくらになる?」「今の半分くらい?」「5分の1。600万円のEVが、120万円になる。その時にEVは爆発的に普及する」だとすればトヨトミ自動車40兆円近くの売上はどうなる? 自動車産業は日本経済の屋台骨、その頂点に君臨するトヨトミが潰れる時は日本が潰れる時だ。衝撃のラスト、と内容紹介にあった。

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この第三作「世襲」は、第一作目「野望」と比べると、少しリアリティと迫力に欠けるように感じた。あまりにも第一作があの大企業をモデルにしたというサプライズが強かったせいかもしれない。
それにしても、モデルが明確にわかり、その内幕を暴露しているような筋書きには、リアリティと迫力があり、最後までモデルを想像しながら、グングンと読み進むことができた。

(写真は 散歩道、早咲きの桜の梢で啄むメジロ、フキノトウなど)

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昨日の快晴の一日とはうって変わって、雨が降り出した。それも次第に強くなってきた。

朝は予定通り、「秩父宮記念公園」の庭園の春先の花々を、傘を差しながら楽しんだ。

アプローチの杉木立

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 クロッカス

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 クリスマスローズ

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白梅

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リュウキンカなどが、雨の庭に咲いていた。

 「記念館」に入ると、ボランティアの方が丁寧に説明してくれた。今日は母屋の燻消毒をしていて、かなり匂いがしていたがその中を説明してくれた。庭の、宮様の銅像がある場所からも富士山が眺められることを初めて知った。天気が良い時再び訪れたいと思った。

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 雨なので、「アウトレット」に立ち寄ることにした。雨にもかかわらず、中国人らしきアジア人が大勢ショッピングしていた。私は手ごろな青色のリュック、Tさんはブルーのシャツ、いずれも何割引きかで買うことができ、お得感がして満足だった。

雨がいよいよ強くなるので、ランチ後には別れた。これから4時間かけてTさんは長野へ戻る。後からお聞きしたのだが、長野に着いた時、雪になっていたそうだが、無事戻ることができたそうだ。一日目は快晴、二日目は雨、そして雪。話題一杯の旅であった。

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Tさんの一句 「雨垂れを 家の中から 裏見滝」(滝のような雨垂れを裏から見るのと雨への恨みが伺われて秀一な句だ。長野に「裏見滝」が実際にある。)

私の一句   「白き富士 彼岸の入りに 寒さかな」(白銀の富士山と彼岸の入りになっても寒さを感じるという句。)    

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